ひとはみんなうんこをする

旧「光朗(ミツルー)の読書日記」。谷川俊太郎さんのエッセイでみた一節がかっこよくて変えました。窓際社員の読書日記です。感想と日々の日記が混ざります。

2025-12-01から1ヶ月間の記事一覧

重松清『答えは風のなか』〜2025年度版・新潮文庫の100冊を読んでいく〜 67

とうとう3分の2を超えた。残り3分の1。 先日読んだ『ぼくの友だち』と同様、『答えは風のなか』も、子どもを主に主人公にした、機知の効いた短編集だった。 しかし、そこに含まれているテーマは、コロナ、差別、原発、痴呆みたいな重いテーマもある。もちろ…

ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』〜2025年度版・新潮文庫の100冊を読んでいく〜 66

何度か読んでいたこともあって、案外内容を覚えており、スムーズに読み終えた。しんねりした作品だから、読むのがつらいかもなんて思っていたけれど、思ったよりも楽しく読めた。ヨーゼフ・ギーベンラート氏の息子、ハンス・ギーベンラートの話。 ハンスは、…

星新一『ようこそ地球さん』〜2025年度版・新潮文庫の100冊を読んでいく〜 65

星新一は昔から好きで、おそらく新潮文庫のものは評伝も含めて全部読んでいると思う。だから、読んだフリでもいいかと思ったけれど、一応、猛スピードで読み返すくらいはしておくべきかと思い直した。しかし、なかなか本は見つからず、結局古本屋で買うこと…

レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』〜2025年度版・新潮文庫の100冊を読んでいく〜 64

かつてレイチェル・カーソンといえば『沈黙の春』だった。これは長く重いので、『センス・オブ・ワンダー』に置き換えたのだろう。『センス・オブ・ワンダー』はタイトル通り「自然への感嘆の感覚」を呼び起こすエッセイである。未完だとされる。レイチェル…

森下典子『日日是好日』〜2025年度・新潮文庫の100冊を読んでいく〜 63

森下典子さんによる自身の24年間にわたるお茶修行のエッセイ。 お作法系かー、と半ば身構えて、読んでみたところ、土井さんにも抜き難くある説教臭のようなものはあまりなく、楽しく読むことができた。 土井さんもおそらく自分の積極くささを自覚して、それ…

土井善晴『一汁一菜でよいという提案』〜2025年度・新潮文庫の100冊を読んでいく〜 62

年内には絶対に読み終わらないな、ということを、今回確信した。『ロリータ』や『罪と罰』はともかく、『百年の孤独』は読み飛ばせまい。読み飛ばせるはずの土井さんのエッセイも、割としっかりと読んでしまう始末。それの感想でも書こうかなんて思っていて…

詐欺サイトに引っかかる

情弱である。 目の前のモノについ引き寄せられた。 人(妻)に紹介してもらったサイトだからとつい信用してしまった。 そういう人の良さにつけこんでくるのが悪い人である。 そもそもおかしいなという点はあった。 ①サイトの写真がAIっぽい → 屋号が図の中で…

世界の悲惨15

新宿の甲州街道に沿う大きな歩道を、新宿に向かってる右側の歩道を、子どもと一緒に2台の自転車で、帰宅する人々の間をぬうように、まあまあのスピードで、走る二人の母子がいた。小生は事なかれ主義で意気地がないので注意は出来ずにいたが、ぶつかって叱…

梨木香歩『西の魔女が死んだ』 ~2025年度版・新潮文庫の100冊を読んでいく~ 61

国際的なスケールで、自分の日常を切り取ると、それがなんともちっぽけなものだと思うことは、案外きゅうくつな日本社会で生きるうえで、結構重要なことなのだ、とあるときから思うようになった。梨木香歩の『西の魔女が死んだ』を読んで、やっぱり、その思…

安部公房『砂の女』 〜2025年度版・新潮文庫の100冊を読んでいく〜 60

絶対に家の中にあるはずなのに、砂に飲み込まれたように文庫本に飲み込まれて消えた『砂の女』を仕方ないから書い直した。新装版のシルバーグレーの表紙を得るためにと自分を納得させて。水色もいいけど、確かに安部公房のイメージはシルバーだ。金属感があ…

微妙な本

田村耕太郎『君はなぜ学ばないのか』(ダイヤモンド社 2025) 全体として言ってることにはそんなに異論はないけれども、そうか、経営者視点だと、国家そのものの帰趨にあんまり関心がないんだなと思わされた。 ただ、国内視点だとオワコンかと思っているもの…

二宮敦人『最後の秘境 東京藝大』 〜2025年度版・新潮文庫の100冊を読んでいく〜 59

エッセイに感想を書くのは本当に難しいのだけれども、大変に面白かった。おそらく一番最後に読むのかななんて思っていて、たまたま本を持っていなかった時に、駐車券分の本を買わなきゃと思って手に入れた一冊は、スルスルと三日間で読み終えた。 東京藝大。…